賃貸物件を営業所として申請する古物営業許可申請には管理者の承諾書が必要?
賃貸物件を営業所として申請する古物営業許可申請には賃貸物件の管理会社や大家さんの承諾書が必要なのでしょうか。
法律上は「不要」ですが、事実上は「必要なこともある」というのが正しいかもしれません。
というのも、古物営業法では申請時の書類として「管理者の承諾書」なるものは定められていませんし、「管理者の承諾が必要」と定められてもいません。
しかし実際、申請時に警察で管理者の承諾書または管理者の承諾そのものを求められた方も多いでしょう。
なぜそのようなことが起きてしまうのか。今回はその理由について考えてみたいと思います。
都道府県警察によって解釈が違っているパターン
まず、都道府県によって管理者の承諾書または承諾を要すると謳っているところと管理者の承諾書または承諾を不要としているところがあるのが現状です。
それは都道府県警察のホームページ等を見ると確認できます。
【全国の警察ホームページから承諾書の要否をまとめました】
全国で10に満たない都道府県では管理者の承諾書または承諾が必要(または必要な場合がある)と書かれていますので、該当される方は要注意です。
同じ都道府県内で管轄の警察署によって承諾書等の要否が分かれているパターン
都道府県は同じだが、管轄の警察署によって承諾書等の要否が違うという場合も多々あります。
これはもう運が悪いという他ないのですが、都道府県内で統一された対応がなされないのは少々問題があります。
おそらく、都道府県で管理者の承諾書または承諾を不要としている場合でも、その解釈が末端の各警察署に行き届いていないのでしょう。
旧来は管理者の承諾書を添付書類としていた警察署がほとんどでしたので、都道府県警察本部からあえて周知しておかないと各警察署では勝手に判断されてしまいます。
その結果、市民がその対応に振り回されているというのが現状と言えます。
行政書士と市民とで管理者の承諾書等の要否が変わってしまうパターン
これが一番困るパターンですが、実際に遭遇することがよくあります。
そもそも、私が賃貸物件を営業所とする古物営業許可の代理申請を行う場合、管理者の承諾書が必要だと言われることはまずないからです。
さらに古物営業許可申請をする際に「警察から承諾書が必要と言われてしまった」というご相談があり、実際に私が対応すると承諾書が不要となるケースも多々あるため、これは市民と行政書士とで対応に違いがあるということが考えられます。
これももはや「運」としか言えない部分があるのですが、市民としては大変困ってしまうところでしょう。
警察組織としては管理者の承諾を不要としているがその方針が末端まで届いていないことが原因?
私個人の考えとしては、警察組織としては管理者の承諾を不要としているが、その方針が末端まで届いていないという現状なのだと思います。
とある警察で、承諾書が必要と言ってしまう理由として、以下のことを言われたことがあります。
「賃貸物件の管理者から警察が許可をしたことに対してクレームが来てしまう」
もちろんこれは筋違いであり、警察の落ち度など認められないと思うのですが、いわゆる「管理者への忖度」がこの現状を生み出している理由の一つになっていることは確かでしょう。
管理者や他の住民と問題を起こすなどの民事の問題は当事者同士で解決すべきものなので、そこに警察が忖度を行う必要は全くないように思えますが、「適正に古物営業を行える者に対して許可をすべきであるという要請がある」と考えれば一理あるのかもしれません。
賃貸物件の申請に慣れている行政書士に依頼して承諾書のリスクをできる限り回避しましょう
ということで、今回は賃貸物件で管理者の承諾書等が必要と言われてしまう理由について考えてみました。
当事務所では、ご依頼の多くが賃貸物件を営業所とした申請となっていますが、当事務所へご依頼の方で、最終的に許可が下りなかった方はいらっしゃいません。
承諾書のリスクを少しでも回避したいとお考えの方はぜひ当事務所にご依頼いただければと思います。
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