警察へ提出する各種の申請書に押印が不要になった!
内閣府の「規制改革実施計画」による、経済のグローバル化・デジタル化の要請を受け、令和2年10月22日、警察庁が全ての行政手続きについて申請者の押印を廃止することを決定しました。
これにより、警察が関係する315の手続きについて、申請書への押印が不要となることになります。
古物営業に関係する申請書類への押印も不要になった
警察が関係する315の行政手続きには、当然古物営業に関する許可申請および届出も含まれます。
ということは、今後古物商に関する各種の申請書や届出書には判子を押す必要がなくなるということです。
これは市民にとっては大変利便性があり、申請の円滑化に大きく影響することでしょう。
実際の手続きの変化は…?
警察庁の発表によると、令和2年内に規則の改正を行い、令和3年からは押印の無い申請書を受け付ける見通しのようです。
実際、この記事の作成時(令和2年11月13日)では、古物営業許可申請書の押印についてはまだ影響がありませんでした。
今までと変わらず押印のある古物営業許可申請書を提出し、何事も無く受理されました。警察からの説明等も特にありませんでした。
現在の手続きでは一部の書類を除き押印は不要
※現在では自署の場合の申請書、誓約書等の押印は不要となっています。
令和2年6月30日付「行政手続における押印等の取扱いに係る緊急対応について(通達)」
しかし、各都道府県警察の長宛に出された、令和2年6月30日付「行政手続における押印等の取扱いに係る緊急対応について(通達)」の中では、従来から必要な押印がされていない申請書等が提出された場合には、「一旦申請を受け付けた上で、適宜の時機に押印がされた書類への差し替えを求めること」とあります。
ということは、すでに現在から押印のされていない書類も受理してもらえるということになっているようです。
しかし申請等の受理はされても結局は押印した申請書への差し替えを求められることになるため、かえって二度手間になるだけですので、やはり今現在では古物営業関係の書類には押印をしなければなりません。
押印が不要となることによってのメリットは?
古物営業に関する申請書類に申請者の押印が不要になったことによるメリットは、それなりに大きいと思われます。
市民も行政書士も申請書のスムーズな作成が出来るようになった
まず、市民にとってのメリットは「申請書のスムーズな作成ができるようになった」ということです。
押印が不要になったということは、例えば押印忘れによる再提出のリスクが無くなったことになります。
押印が必要な箇所にされていない、そもそも申請書類に不備があるということでの再出頭のリスクが大幅に下がります。
しかしこれは代理作成者・代理申請者としての行政書士も同じことです。
押印忘れ等により、再度依頼者の方へ申請書類をお届けするというリスクが無くなります。
これにより、依頼者の方にとってもスムーズな申請が図られることになるでしょう。
実際は押印しておいたほうが無難…?
とは言え、今の段階では申請書類等に押印をしておいたほうが無難なのではないかと思います。例えば、代理申請等を行う場合の行政書士への委任状については、警察署に対しては不要であっても行政書士本人に対しては必要であることが多いです。行政文書に対しての押印が不要となっても民法上押印が必要(またはあった方が良い)な文書もありますので、古物商に関する書類には従来通り押印を行っておいた方が安心かもしれません。
押印をすることによる不都合はありませんし、実際に古物の担当課でも「迷うなら押印をしておいて構いません」ということは伝えられています。
古物営業許可の申請がしやすくなると無許可営業者が苦しくなる
今回の古物商関連書類への押印廃止に加え、令和2年4月からは「添付書類の統一化」が図られています。
これにより、警視庁やその他の都道府県では従来必要だった「賃貸物件を営業所とする場合の管理者の承諾書」や「自動車を取り扱う場合の車庫の証明、図面、使用承諾者の承諾書」の添付が不要となっているところが多くなっています。
市民にとっては古物営業に関する書類が提出しやすくなったことは大変良いことですが、反面無許可営業者にとっては注意が必要です。
なぜなら、これだけ社会の話題となり、簡素化が図られるようになった上で「知らなかった」は通用しなくなるからです。
古物の売買に古物営業許可が必要なことは、すでに誰もが知っています。現在ではインターネットを活用した古物の売買が主流になっているため、個人の小規模事業者やサラリーマンの副業としても古物営業許可が必要であるということを「知らなかった」では済まされなくなってきているのです。
古物営業許可は「とにかく早く取得すること」が鉄則!
そして無許可で営業を行うことの一番の恐怖は、「規模が大きくなっていくと罪も大きくなってしまう」ということです。
当事務所でも、あまりにも大きな規模や長い期間の無許可営業を行ってしまっている方からの申請はお断りしています。申請したことによって逮捕されてしまうのはこちらとしてもリスクがあるからです。
負のスパイラルに巻き込まれないためには「古物営業許可はとにかく早く取得してしまうこと」。これに尽きると思います。
いつか取るのであれば今すぐ取ったところで何も変わりません。申請料は一度払えば良く、更新もありません。
「許可を取得する=安心を取得する」のが古物商です。これから古物商を始める方も、すでに利益を上げてしまっている方も出来るだけ早く許可を取得しましょう。
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