古物商の許可を取らずに営業を行っていた場合、いくらぐらい稼ぐと捕まってしまうの?
古物商の許可を取らずに古物の売買を行ってしまっている方もいらっしゃいます。
古物営業法では下記の通り規定されているため、許可を取得せずに古物営業を行っていた場合は明らかに違法となってしまいます。
第三条 前条第二項第一号又は第二号に掲げる営業(古物営業)を営もうとする者は、都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の許可を受けなければならない。
現在無許可営業を行ってしまっている方の一番の関心は「自分自身は捕まってしまうのか?」これに尽きると思います。
実際に当事務所へ相談される方の多くが「現在無許可営業を行ってしまっているが今許可を申請すると逮捕されてしまうの?」という心配をされています。
今回は無許可営業者の一番の関心事「古物商の無許可営業でいくらぐらい稼ぐと逮捕されてしまうのか」についてお伝えしていきたいと思います。
無許可営業でいくら稼ぐと逮捕されるのかという基準は全く無い
古物の無許可営業いくら稼ぐと逮捕されるのかという額の基準については「全く無い」と言えるでしょう。
無許可営業は無許可営業ですから、少しならOKとかいくらならOKなどといった決まりはありません。
無許可営業で多額の売上をあげてしまったという例
とあるご相談者では、
古物で年間10,000,000円の売上をあげてしまいました。この状態で古物営業許可申請をすると逮捕されてしまうのでしょうか…?
という例がありましたが、私としては「何とも言えない」と回答するしかありません。
と言うのも、どの程度の額で逮捕されるという基準もなく、また逮捕例なども全て公表されていない以上、私から「それぐらいなら大丈夫ですよ」などと軽はずみに言うことはできないからです。
しかし、売上額によって逮捕されるリスクが高くなるということは確実に言えます。
無許可営業の規模が大きくなると逮捕されるリスクが高くなるという仕組み
無許可営業の売上額によって逮捕されるかどうかが決まるわけでは無いと考えますが、売上額を含む「無許可営業の規模」によって逮捕されてしまうリスクが高くなるというのは確実に言えると思います。
無許可営業の規模については色々な要素があります。「売上額」も当然そうですし、「無許可営業期間」も売上額と並んで重要な要素となります。また「営業所の数」や「営業所の大きさ」、「販売する古物の数」なども規模に含まれます。
なぜ無許可営業の規模によって逮捕されるリスクが高くなるのかというと単純に「目立つ」からです。
営業所の数や大きさなどはもちろん明らかに目立ちますが、傍から見たらわからない「売上額」も警察にとっては一目瞭然です。
確定申告書で売上額は簡単に分かってしまう
ある程度の売上額がある事業者であれば確定申告は行っていると思います。古物商の無許可営業よりも脱税の方が簡単に見つかってしまいますからね。
そうなると警察でも事業者の営業規模は簡単にたどれます。警察としては「売上額が大きい事業者」が古物をやり取りしているか否かだけが分かれば後は一目瞭然です。
あとは「きっかけ」のみで警察はいつでも逮捕できる
そうなると、あとはきっかけのみです。これについても考えられる理屈としては簡単です。
よく盗品の取り扱い操作から古物商の無許可営業が発覚するという話がありますが、盗品に限ったことではありません。
なぜなら、その他の罪に関する立証よりも「無許可営業」を立証するほうが遥かに簡単なケースが多いからです。
先程の盗品の例で言えば、疑いがあった営業所に立ち入りしたら無許可営業を行っていたのが分かった。この時点で警察としては無許可営業で逮捕してしまうのが最も簡単であり確実です。
その後本来の疑いのある盗品であるかの操作を進めれば良いのです。もし盗品について全く関わりのなかった人物であったとしても、ある程度の規模の無許可営業者が逮捕できたのですから建前上何の問題もありません。
ということで古物商の無許可営業を行っているということは「何かのきっかけで逮捕される」リーチがかかっている状態であり、規模が大きければ大きいほど警察のやる気が上がるという仕組みだとも考えられます。
規模が大きくなると営業は急にやめられない
先程の無許可営業で10,000,000円を売り上げてしまったご相談者様の例を挙げましたが、私は別の理由で内心「相当ヤバいな…」と思ってしまいました。
なぜヤバいと思ってしまったのかというと、これだけの規模の無許可営業を行っていた場合、急に営業をストップすることができないからです。
古物営業許可申請をする直前に営業をストップして40日程度の標準処理期間を待てば良いだけ。そんな簡単な話ではありません。
営業をストップするためには、一度店舗を畳まなければなりません。インターネットのみで営業をしていた場合でも、現在手続き中の顧客とのやり取りを終えた上で販売サイトを閉鎖しなければなりません。
そうなると大きな損害となるでしょう。その損害を覚悟できないからといって営業を続けるとさらに規模は大きくなります。
となると「逮捕されるまでやめられない」といった悪循環から抜け出せなくなってしまいます。
いつかは許可を取得するしかない
すぐに古物営業をやめる気がないのであれば、「できる限り早く許可を取得する」ということしかありません。
10,000,000円の売上をあげてしまった方の例で考えても、始めは小さな売上額だったはずです。
それが段々と規模が大きくなっていき、もはやかなりのリスクがある無許可営業者となってしまいました。
こうなると許可申請するだけで逮捕されるリスクも考えられます。この状態であれば申請代行を委任しても断る行政書士も多くいると思います(私も考えてしまいます…)。
古物商許可はとにかく早く取得すること。どの専門家でもこれしか言えないのはこういった理由があるからなのです。
当事務所では許可を得ずに古物営業を行ってしまっていた方の申請についても対応しておりますので、規模が大きくならないうちにお早めのご依頼をいただければと思います。