古物商を行うことは会社に分かってしまうのか?
中古品を販売して利益を上げている方はたくさんいらっしゃいます。
自宅の不用品をメルカリなどのネット上で取引し、料金をもらったことがある人は多いでしょう。
しかし、それを継続して行う場合には、古物商と判断される可能性が高くなります。
自宅の不用品には限界がありますし、継続して販売していくには仕入れを行わなければなりません。
そうなると古物営業許可を取得する必要があります。
古物営業許可の申請は営業所を管轄する警察署の窓口で行いますので、警察から自分の勤めている会社に連絡が来てしまうのではないかと不安に思う方も多くいらっしゃいます。
そこで今回は「古物商は会社にバレるのか?」という点について考えていきたいと思います。
警察から会社に連絡がいく可能性は?
まず古物営業許可申請をした時に「警察から自分の勤めている会社に連絡がいく可能性」についてですが、これは「絶対無いとは言い切れない」という結論になります。
というのも、まず古物営業許可申請をする際には「略歴書」という添付書類に会社名を記載する必要があります。
そのため、申請者がどこに勤務しているかは容易に警察に分かってしまいます。
しかし、そこで警察が実際に会社に連絡をする可能性はほぼゼロといって良いでしょう。
なぜなら警察には、申請者が古物営業許可申請をした際に、勤務先に連絡しなければならないという決まりなど無いからです。
実際にも当事務所で古物商の申請をした際に、警察から会社に連絡されたという話は聞いたことがありません。
ただ「絶対に無いとは言い切れない」というのは、警察には会社名が分かりますので、「連絡しようと思えばできる」という状態にあるからです。
基本的には警察から申請者に対しての問い合わせがある場合には、本人の電話へ連絡があります。
もちろん行政書士に依頼している場合には、その申請に関しての問い合わせについては、行政書士に連絡が来ることになりますので、本人が直接対応する必要はありません。
ただ、本人が申請した場合に、本人が電話に出なかった場合はどうでしょう。
行政書士に依頼している訳ではないため、連絡できるところは申請者本人の電話番号1か所となります。
本人に連絡をつけたいが、何度電話しても出てくれない。留守番電話にメッセージを入れたけれど返答がない。このような場合には本人が勤務している会社に連絡が来ることは否定できません。
ただし、可能性があるというだけで、実際には「許可審査の処理過程をストップする」、「申請を却下する」のどちらかになる可能性が高いと思います。
それだけじゃない!その他のバレるポイントは?
古物商の許可申請をした際に、自分が勤めている会社に警察から連絡が来る可能性については、極力低いということは分かったと思います。
しかし、その他のリスクについてはどうでしょう。いくつか挙げてみたいと思います。
税務署から会社に連絡が来ることはないが…?
古物商を行う場合、税務署に「開業届」を提出する必要が出てきます。
その場合に「税務署から会社に連絡が来てしまうのではないか」という不安が出てきます。
しかし警察と同様、開業届を税務署に提出したことで会社に連絡が来る可能性は極めて低いと考えられます。税務署が会社に連絡する必要性が乏しいからです。
しかし、税申告により会社に古物商がバレてしまうことについては別問題となります。
住民税を普通調整にするなどで会社に別の所得を分からないようにするなどの対策方法がありますが、詳しくは税理士にご相談ください。
URLの届出には古物商の氏名と営業所の掲載が必要
ネットを用いて古物商を行う場合、URLの届出というものが必要となります。
そこには「古物商の氏名」、「営業所の住所」、その他所定の情報を掲載することが必要です。
そのため、そこから古物営業を行っていることが分かってしまう可能性があります。
しかし、ショップのマイページまで行って情報を見るという人はほとんどいないため、そこを発端としてバレてしまうということはそこまで心配しなくても良いかと思います。
もし古物商が会社にバレてしまったら?
古物商をしていることを会社にバレないようにするにはということを考えるよりかは、会社にバレたらどうすれば良いかを考えておくことのほうが安心につながると思います。
まず、社会の原則として、副業は「自由」です。勤務外の時間をどう使おうが人の勝手だからです。
しかし、会社との「契約」により、一定の制限を受けることになるということなのですが、会社が気にするのは「売上」よりも「古物商にかかる労力」です。
副業の古物商に労力をかけすぎて、本業の勤務に支障を及ぼしてしまっては困るという理由から副業禁止規定を掲げている会社が多いはずです。
そのため、会社に指摘された場合は、趣味の延長として古物商を行っているということを伝えると良いと思います。
毎週末フリーマーケットに出店することが趣味の方もいるかと思います。そのようなことまで禁止する会社は少ないはずです。
ネットで行っている場合であれば、古物商にかける時間が著しく短いこと、勤務に影響を及ぼす可能性が無いことなどを説明すれば、許容してくれる可能性もあるでしょう。
むしろそのような場合であれば、事前に会社に許可をとっておくという方が安心できます。副業禁止規定の中には「会社の承諾を得れば副業が認められる」という条項をあることも多いからです。
もちろん事後承諾でも良いのですが、事前承諾を得ておけば安心して古物営業を行うことができるでしょう。
厚生労働省が平成 30 年1月に改定したモデル就業規則においても、「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。」とされていることから、社会の流れとしては「副業は可能」という動きになってきています。
そのため、会社としても、本業に影響が無ければ副業は許容する方向にあると言えるでしょう。
古物商が会社にバレたらクビになる?
実際に古物営業を行っていることが会社にバレてしまったらクビになってしまうのかということですが、これについては「可能性はほとんど無い」と言えると思います。
古物商が会社にバレてしまっても、最悪古物商を辞めれば良いわけですし、会社としてもやっていたことよりも古物商を辞めてもらうことにメリットがあるからです。
しかし、公務員の副業禁止規定は厳しいですし、かなりの労力をかけて多くの利益を得ていた場合などでは何らかの罰則を受ける可能性は否定できません。
副業で古物商を行う場合は本業とのバランスを検討する
以上、古物商が会社にバレてしまうのかということについてのお話でしたが、これについてはリスクを完全に否定することはできないと思います。
しかし、会社との関係性や古物営業の規模などを考えた上、無理の無い範囲で行うことは十分可能であると言えるでしょう。
最も危険なことは「無許可営業で摘発されてしまうこと」です。
無許可営業で警察から摘発されたことが会社に知られてしまった場合、逮捕まではいかなくとも会社で何らかの処分を受けることは確実です。またクビまでに至らなかった場合も、会社に居づらくなり自主退社せざるを得なくなる可能性があります。
そんなことにならないよう、古物営業を行う場合は規模に関わらず古物商の許可を取得しておくことが安全です。
当事務所では、全国対応でネットによる古物商許可取得のサポートを行っておりますので、ぜひご利用ください。