古物営業に関する警察庁からの事業統計が発表されています。
これらを見ることにより、古物営業に関する概況が見えてきます。今回は、「警察庁古物営業の概況」から、古物営業を行っている方やこれから古物営業を行おうとしている方が気になる点に関するデータを見てみたいと思います。
古物商及び古物市場主の許可件数
古物商及び古物市場主の許可件数についてのデータは以下の通りです。
平成22年から令和元年末までの古物商及び古物市場主の許可件数は、大きく見ると「横ばい」と言って良いと思います。
平成22年からの古物商許可件数は微増傾向にありましたが、令和元年に初めて減少しました。
古物市場主の許可件数は平成22年からほとんど変化がありません。
しかし、全体の許可数は77万件以上となっており、毎年古物商等の許可を取る者が多くいることがわかります。
古物営業の行政処分件数
次に古物営業を行う者が受けた行政処分の件数についてのデータです。
平成22年~平成24年の3年間と平成29年~令和元年の3年間では行政処分の総数に大きな違いが見られます。かつてと比較すると警察の古物営業に関する監視の目は厳しくなっていると言えるでしょう。
しかし、古物営業の取り消しや営業停止などの比較的厳しい処分については増加しているわけではありません。「指示処分」が増加していることから、警察としても古物営業を行う者へ適切な営業をしてもらうための注意喚起に努めているといった感じでしょうか。
古物営業法違反の検挙件数【無許可営業等】
それでは古物営業を行っている方やこれから古物営業を行おうとしている方達が一番気になる点についてのデータを見てみましょう。平成22年から令和元年までの古物営業法違反の検挙状況についての資料です。
検挙の態様は「無許可営業」、「変更届出違反」、「身分確認違反」、「帳簿等記載違反」、「その他」に分けられています。
全ての検挙態様についての件数は横ばいもしくは微増傾向にありましたが、令和元年には全ての態様についての件数で激減しています。変更届については令和元年では「0件」でした。
これについては、近年の古物営業についての警察からの厳しい取り締まりが功を奏し、古物営業を行う者が法令を守るようになってきたという効果の表れかもしれません。
しかし、毎年「無許可営業」での逮捕や任意同行等の件数が平均10件程度あることから、まだまだ古物商許可を取らずに古物営業を行ってしまっている者が多くいることが分かります。
今後も警察としては無許可営業の摘発及びすでに古物営業許可を取得している者の法令順守について力を入れていくことでしょう。
安心して営業するために古物営業法等に則った事業運営を行うことが必要!
古物営業法等に則った事業運営を行うことは、自分自身で安心して古物営業を行うために必要であると言うことができます。
古物営業法等に反した事業運営を行っていることを自分自身で承知しながら日々を送ることは、ストレスや不安を持ったままの状況が続いていくということになります。
もう一度自分自身の事業運営を見直し、コンプライアンスに沿った事業を行えるよう努めていただきたいと思います。